QOL(生活の質)満足度の高い前立腺がん治療

前立腺がんについて

前立腺がんは、他のがんに比べて高齢になると発生しやすいがんです。以前は、血尿や残尿感、骨転移による痛みやしびれなど、だいぶ進行した状態で発見されることが多くありました。1975年以降患者数が増加していますが、その理由の1つは、 PSA(前立腺特異抗原)による診断方法の普及です。この方法によって、従来の直腸指診では難しかった早期のがんが発見されるようになりました。そして、国立がん研究センターがん対策情報センターの予測によると、2015年の男性のがん罹患数では1位と予測されています。しかしながら、罹患数は急激に増加しているものの、死亡数は男性がんの6位を維持しており、治せる確率が高いがんともいえます。

前立腺がんの根治治療について

前立腺がんの根治治療は、手術、強度変調放射線治療、小線源治療、陽子線治療と多くの選択肢があります。医療になじみのない方は「私は医療の専門家ではないし、お医者さんに任せておけば一番良い治療法を考えてくれる」-そう考えるかもしれません。しかし各治療法は、それぞれのメリットとデメリットがあり、各治療の専門医師が自信をもって治療をしていますので、患者さん自身が自分に合った方法を選ぶ必要があります。ライフスタイルや価値観など何を重視したいのか自分の希望を伝えて納得できる治療を選ぶことが大切です。

センターの前立腺がん治療

当センターでは2015年12月までに559人の患者さんが前立腺がんの治療を受けられました。39歳から88歳までの方で60-70歳代の方が8割以上を占めます。なかには全ての治療法のセカンドオピニオンを受けてから慎重に最終決断された方もいらっしゃいました。
治療の効果はどの方法も遜色ないと思われますが、完治し得るからこそ余命が長く、治療後の障害がQOL(生活の質)に影響します。がんは完治しても、尿もれや排便障害、勃起障害などが起きてしまうと、仕事や生活に支障がでてしまいます。今の生活の質を落としたくないと考える方が、陽子線治療を選ばれています。

このようなライフスタイルの方々が陽子線治療を選ばれました

自宅で母親の介護をしています。食事の介助があるので、私が入院するわけにはいかないのです。

武道の師範をしています。教え子にがんと知られる訳にはいかなくて。

農業をしています。品種改良が上手くいきそうでいかなくて、あと10年は頑張りたいな。

仕事上、どうしても外せない付合いがあってね、ゴルフや飲み会も問題ないんでしょう

養豚業です。生き物相手だから休めないんですよ。

前立腺がんの陽子線治療

前立腺がんは、悪性度が一定でなく、がんの進展範囲を定めるのが難しいため陽子線を照射する範囲は前立腺全体です。そして、がん細胞は死滅して、正常な細胞や周囲の組織には影響が最小限になる量と回数で治療を行います。前立腺の大きさや直腸や膀胱などとの距離は、身長体重と同様に人それぞれ違いますので、陽子線をあてる時には、患者さん毎に範囲や深さを設定します。また、レントゲンで骨盤を撮影し、照射範囲を0.1mm単位で調整します。前立腺のQOL調査票(日本語版EPIC)を用いた比較では、排尿機能・排便機能・性機能を総合して「陽子線治療は小線源治療と同等、手術より高くQOLを保持できる」結果が得られています。

治療の説明

1回の治療時間は15分です。
体を固定する型をつけ、足の付け根の横から毎日左右交互に照射します。

治療の説明
治療の説明

【参考データ】2015年のがん罹患予測 男女別

日本のがん罹患数において男性は前立腺がんが最も多い状況。

治療の説明
【参照】国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター