現代において、がんはもはや「不治の病」ではなく、「克服できる病」へと変化してきています。
診断技術の向上が早期発見を可能としていることはもちろん、医学の進歩は常に新しいがん治療法を生み出してきました。
現在は、それらの治療法のメリット・デメリットを含めて、患者さん自身が情報や知識を得られる環境にあり、今や患者さん自らが治療方法を選ぶ時代になってきたと言っても過言ではありません。
陽子線治療は、放射線治療のひとつ
ミクロの粒子を用いる粒子線治療の一種です
光子線と粒子線
がん治療に利用される放射線は、大きく光子線と粒子線の2つに分けられます。光子線とは、体内を通り抜ける性質を持つ電磁波のことで、X線・ガンマ線などが一般的な放射線治療に利用されています。
一方、粒子線は、水素や炭素の原子核といったミクロの粒子を利用した放射線で、一番軽い元素である水素を用いる場合は陽子線治療、それよりも重い粒子を用いる場合は重粒子線治療と呼ばれています。重粒子線治療では主に炭素イオンが使われています。このように非常に小さな粒子を用いた放射線治療を総称して「粒子線治療」と呼んでいます。
一方、粒子線は、水素や炭素の原子核といったミクロの粒子を利用した放射線で、一番軽い元素である水素を用いる場合は陽子線治療、それよりも重い粒子を用いる場合は重粒子線治療と呼ばれています。重粒子線治療では主に炭素イオンが使われています。このように非常に小さな粒子を用いた放射線治療を総称して「粒子線治療」と呼んでいます。
陽子線治療の特徴
陽子線は体内に照射されると、正常な細胞にほとんど影響することなくがん細胞に到達し、がん細胞の核の中にあるDNAを攻撃します。陽子線により損傷を受けたがん細胞は、死滅し、増殖できなくなります。
陽子線照射による身体的な負担はほとんど無いので、外科的手術が困難な全身状態の良くない症例や高齢者に対しても、比較的安全に治療を実施することができます。1回の治療時間は位置合わせなどを含めて10~30分程度で、特に入院する必要はなく、外来での治療が可能です。
局所の治療法という点で外科療法と同様ですが、陽子線治療は形態や機能を保持することができるので、治療中や治療後のQOL(生活の質)を良好に維持することができます。
局所の治療法という点で外科療法と同様ですが、陽子線治療は形態や機能を保持することができるので、治療中や治療後のQOL(生活の質)を良好に維持することができます。
身体にやさしいがん治療
体内に入射された陽子線は速度を失い、最終的には停止します。その際、一挙にエネルギーを放出する物理的性質があり、この現象は発見者の名に因み、「ブラッグピーク」と呼ばれます。このピークの幅や深さは精密に制御することが出来るので、今までX線治療が苦手としていた体の奥深くにあるがん病巣に対しても、強力なダメージを与えることが可能となりました。一方、このピークよりも深くにある正常組織へのダメージはほとんどないので、身体にやさしいがん治療とも言えます。